ホームインスペクションの薦め【中古住宅の流通拡大なるか!】vol.2|不動産物件(新築・中古一戸建て・マンション)の朝日土地建物

ホームインスペクションの薦め【中古住宅の流通拡大なるか!】vol.2

(2)検査項目のガイドライン

具体的な検査項目としては戸建て住宅と集合住宅(マンション)に分け、以下のようになっています。
国土交通省:既存住宅インスペクション・ガイドライン(平成25年6月)より

戸建て住宅の検査対象項目
検査の観点 対象部位等 検査対象とする劣化事象等 検査方法
構造耐力上の安全性に問題がある可能性が高いもの 小屋組、柱、梁、床組等 ・構造方式に応じ、木造にあっては蟻害・腐朽が、鉄骨造にあっては腐食が、鉄筋コンクリート造にあっては基礎において検査対象とする劣化事象等が生じている状態
・著しい欠損や接合不良等が生じている状態
目視
触診
打診
計測
床、壁、柱 ・6/1,000以上の傾斜が生じている状態(鉄筋コンクリート造その他これに類する構造を除く) 計測
基礎 ・コンクリートに幅0.5mm以上のひび割れ又は深さ20mm以上の欠損が生じている状態
・鉄筋コンクリート造で鉄筋が腐食している可能性が高い状態(錆汁の発生)や腐食する可能性が高い状態(鉄筋の露出)
目視
計測
雨漏り・水漏れが発生している、又は発生する可能性が高いもの 外部 屋根、外壁 ・屋根葺き財や外壁材に雨漏りに雨漏りが生じる可能性が高い欠損やずれが生じている状態
・シーリング材や防水層に雨漏りが生じる可能性が高い破断、欠損が生じている状態
目視
屋外に面したサッシ等 ・建具や建具まわりに雨漏りが生じる可能性が高い隙間や破損、欠損が生じている状態
・シーリング材や防水層に雨漏りが生じる可能性が高い破断、欠損が生じている状態
目視
内部:小屋組み、 天井、 内壁 ・雨漏り又は水濡れが生じている状態(雨漏り・漏水後を確認) 目視
給排水:給水管、給湯管 ・給水管の発錆による赤水が生じている状態
・水漏れが生じている状態
目視
触診(通水)
給排水:排水管 ・排水管が詰まっている状態(排水の滞留を確認)
・水濡れが生じている状態
目視
触診(通水)
換気:換気ダクト ・換気ダクトが脱落し、又は、接触不良により、換気不良になっている状態 目視
共同住宅の検査対象項目(専有部分)
検査の観点 対象部位等 検査対象とする劣化事象等 検査方法
構造耐力上の安全性に問題がある可能性が高いもの 壁、柱、梁 ・構造方式に応じて、鉄筋又は鉄骨が腐食している可能性が高い状態((錆汁の発生)や腐食する可能性の高い状態(鉄筋又は鉄鋼の露出)
・6/1,000以上の傾斜が生じている状態(鉄筋コンクリート造その他これに類する構造を除く)
・コンクリートに幅0.5mm以上のひび割れ又は深さ20mm以上の欠損が生じている状態
目視
計測
雨漏り・水濡れが発生している。又は発生する可能性が高いもの 内部:小屋、内壁 ・雨漏り又は水濡れが生じている状態(雨漏り、漏水跡を確認 目視
設備配管に日常生活上支障のある劣化等が生じているもの 給排水:給水管、給湯管 ・給水管の発錆に より赤水が生じている状態
・水濡れが生じている状態
目視
計測
給排水:排水管 ・排水管が詰まって いる状態(排水の滞留を確認)
・水漏れが生じている状態
目視
計測
換気 :換気ダクト ・換気不良となっている状態 目視
専用使用部分(ベランダなど専用使用権のある共用部分)
検査の観点 対象部位等 検査対象とする劣化事象等 検査方法
構造耐力上の安全性に問題がある可能性が高いもの 壁、柱、梁 ・構造方式に応じて、鉄筋又は鉄骨が腐食している可能性が高い状態((錆汁の発生)や腐食する可能性の高い状態(鉄筋又は鉄鋼の露出)
・コンクリートに幅0.5mm以上のひび割れ又は深さ20mm以上の欠損が生じている状態
目視
計測
雨漏り・水濡れが発生している。又は発生する可能性が高いもの

外部:外壁

・シーリング材や防水層に雨漏りが生じる可能性が高い破断・欠損が生じている状態 目視
外部:屋外に面したサッシ等 ・建具や建具まわりに雨漏りが生じる可能性が高い隙間や破損・欠損が生じている状態
・シーリング材や防水層に 雨漏りが生じる可能性が高い破断・欠損が生じている状態
目視

(3)「インスペクション」実施者(業者)の遵守事項

「インスペクション」を行うに当たって重要なことは客観的・中立性が確保され第三者的な観点から公正な検査業務が実施されることです。従って遵守されるべき事項を以下のように示しています。

・客観的、誠実に取り組み、公正なインスペクション業務の実施に努めること。
・検査結果の報告に当たっては客観的な報告に努め、事実と相違する内容の報告は行わないこと。また、リフォーム工事費の目安等に関する情報を提供する場合には検査結果の報告とは別であることを明らかにすること。
・宅地建物取引業又は建築業、リフォーム業を営んでいる場合は、その旨を明らかにすること。
自らが売主となる住宅についてはインスペクション業務を実施しないこと。
・検査結果及び依頼主に関する情報を依頼主の承諾なく情報提供や公開をしてはならないこと。

(4)検査結果報告書の作成・報告のガイドライン

検査結果報告書の内容は以下のように示しています。状況により検査できなかった箇所も明示し、後からトラブルが生じないようにするなど適切な報告を求めています。

検査した部位と確認すべき劣化事象等の検査結果(写真を含む)
・対象住宅の状況により検査できなかった部位については、当該箇所とその理由及び写真
部分的にしか検査できなかった部位についても、検査できた割合をあわせて記載

(6)検査人に対するガイドライン

「インスペクション」を実施する中古住宅おいては一戸建てやマンションの別、築年数がそれぞれ異なり建物の状態は千差万別です。そのため検査人も豊富な経験と知識技能が求められます。求められる検査人については建築士と建築施工管理技士を挙げ以下のような例の経験を有する検査人が求められています。

既存住宅の住宅性能評価における現況検査
既存住宅売買瑕疵保険における現況検査
・フラット35(中古住宅)に係る適合証明業務
  ・共同住宅に係る建築基準法に基づく定期点検・報告に係る業務
・住宅のアフターサービス等としての定期的な点検
住宅リフォーム工事の施工(事前調査を伴うもの)

(7)「インスペクション」の利用料金

料金や、診断内容は、ホームインスペクターやその所属する会社によって異なります。NPO法人日本インスペクター協会によると目視による診断で5万~6万とのことです。また、検査の所要時間は100㎡(約30坪)床面積で2~3時間です。

(8)既存住宅売買瑕疵(かし)保険の利用と「インスペクション」で補助金

既存住宅売買かし保険は、中古住宅の検査と保証がセットになった保険制度です。
住宅専門の保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)が保険を引き受けます。物件購入後に欠陥が見つかった場合、補修費用等の保険金が事業者(事業者が倒産等の場合は買主)に支払われます。「インスペクショ ン」を実施し、既存住宅売買瑕 疵保険に加入することで「インスペクション」 5万円/戸 及びリフォーム工事内容に応じて 定める額(定額)50万/戸(最大)が補助されます。対象は断熱などのエコ・リフォームとなります。

以上が国土交通省の示した「インスペクション」のガイドラインですが、検査人の技術が属人化し建物検査の基準が標準化されていないとその結果に対する客観性が維持できず問題となるでしょう。現在「インスペククター」に関する資格は国家資格では無い為、公的な基準が確立されたものではありません。依頼者にとってはその会社や検査人の経歴、技能を職務経験で確認し、最終的な成果物の具体的な内容を確認して依頼する必要があります。しかし、「インスペクション」は長く住み続けることになるマイホームの品質の客観的評価を得られる手段としてお金をかけても実施すべきだと言えます。

この記事は2017年12月4日に作成されました。

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